-
Blog
-
Blogブログ・心理学用語集
Blogブログ・心理学用語集
2021.11.12ブログ・心理学用語集
不安ーanxietyー
不安とは何か
日常生活で「不安」は多くの人が感じているものだと思います。例えば「明日の試験が不安で眠れない」「明日の仕事でうまくプレゼンができるか不安でたまらなくてずっとソワソワする」「将来ちゃんと生きていけるか不安で考え出すと何も手につかない」など日々様々なことを不安に思います。これらのように明日のことを不安に思ったり、反対に遠い未来を不安に思ったり、そのことが動機や発汗、腹痛など身体的に表現されたり、行動的になる、または反対に何も考えられなくなる活動性の減少が起きたりなどの行動面に現れたり、不安は内容や程度、その現れ方は多岐に渡ります。ですが、それら不安に共通していることは漠然とした特定できない曖昧な脅威であるということです。
心理学で不安とは「自己存在を脅かす可能性のある破局や危険を漠然と予想することに伴う不快な気分のこと」と定義されています。不安は一見感じることが悪いかのように思われますが、不安は人間にとって重要な感情です。不安は自己を脅かす破局や危険などのリスクを予想することにも役立ちます。例えば、石器時代などでは暗闇の中では何が潜んでいるかわかりませんから命を守るためには危険やリスクを考える必要がありました。その際、不安を感じることで何かがあってもすぐに戦えたり逃げたりすることができ、人間は命を繋ぐことができました。現代でも人間は不安を感じることで何か対策をしたり、適切に回避をして危険から身を守ったりなどの行動を起こします。その結果自己成長や危険な目に遭うことを回避することができます。このように、不安は人間にとって合理的で大切な心の力と言えます。
病的な不安
上記のような正常な不安に対し、病的な不安も存在します。病的な不安とは何らかの危険が存在しない場合においても不安の体験が高い頻度で続き、また持続的で苦痛を伴います。長期的に持続し、日常生活に支障をきたすようになると「不安障害」という精神疾患に発展することがあります。
そのような病的な不安は自分にはどうすることもできないという思いや問題解決のための手段を持ち合わせていないと思い込んでいる場合が多く、その「制御困難さ」に圧倒される体験をしています。その「制御困難さ」に圧倒されている状態で不安を打ち消そうとしてもうまくいきません。不安を打ち消そうとする失敗に対してまた不安がつのり悪循環が生まれてしまいます。そのため、それら不安を制御しようと躍起になるのではなく、まずはその不安を理解して受け入れる作業が必要になります。
不安は人間にとって重要な力であるため、不安を完全になくすことはできません。不安への対処とは不安を拒否したり、無くしたりしようとするのではなく、「不安と上手く付き合っていく」ということが必要になります。
不安への対処
そのために、まずは自分がどんなことに不安になるのか、不安を感じた時の自分の反応はどのようなものかを知る必要があります。これは「セルフモニタリング」と言って自分を観察することです。
自分を観察することができると、普段は意識していない自分の考えや感情を客観的に見ることができるようになります。例えば「試験に合格するかどうか不安」というときに自分はどのように感じているでしょうか?「一問も解けなかったらどうしよう」と感じている人もいれば「試験に落ちたら人生終わりだ」という考えが浮かんでいる人がいるかもしれません。そのように自分を観察してみることで不安を言語化します。そうするとそれがどの程度妥当な考えであるかを冷静に吟味することが可能になります。「一問も解けない」ということは本当にそうか?また、「試験に落ちたら人生終わりだ」は考えすぎていないだろうか?など自分の考えを客観的に再考してみると自分の中で思い込みすぎていた部分と、現実的な可能性とを分けて捉えることが可能になります。
そのようにセルフモニタリングをして不安を捉え直すことで制御困難と感じていた漠然としたものが、実はそこまで大したものではなく、自分でも制御ができそうなものであったと認知を転換することができるようになります。
最後に
ストレス社会と言われる現代では不安は常に日常生活の中に存在します。そしてそれらを表現することはあまり快いものだとされていない風潮が存在するのも確かです。しかし、不安は人間の大切な力であり、自分を助けてくれるものでもあります。その力を上手く使っていくためにはきちんと不安を自覚し、受け入れ、理解することが大切です。
シェアする