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Blog心理学用語集
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2021.09.20心理学用語集
選択性緘黙(selective mutism)
緘黙(mutism)とは何か
言葉を習得していて、器質的障害が認められないにもかかわらず、言葉を発しない状態を言います。特に子どもに多く見かけられるのは選択性緘黙(selective mutism)と呼ばれるものです。
選択性緘黙(selective mutism)について
例えば、身近な家族がいる自宅では話すけれども、学校でクラスメイトに話しかけられても話したり、クラスメイトに質問をし返したりといったことがない、つまり特定の状況において言葉を発する様子が見られないことを選択性緘黙と言います。場面緘黙症とも呼ばれます。
診断基準として以下のような内容が挙げられています。
A.普通に話す力を持っていて、家庭などでは普通に話をしているにもかかわらず、話すことが期待されている特定の社会的状況(例えば学校)において話すことが一貫してできない
B.その障害が学校や職場での成績、又は対人的コミュニケーションを妨げている
C.その障害が少なくとも1カ月(学校の最初の1ヶ月だけに限定されない)続いている
D.話すことができないことは、その話し言葉の知識や話すことに関する楽しさが不足していることによるものではない
これらに加えて症状が他の疾患では説明できない場合、選択性緘黙かもしれません。
緘黙の発症は、通常5歳未満と言われていますが、社会的な交流や音読をするといった課題が増える入学をきっかけに病院やカウンセラーに相談するケースが多いと思われます。
選択性緘黙が見られる場合、学校生活上で起きる問題として、学校の先生が国語の読み方などの技能の評価をすることがしばしば難しくなることやクラスメイトとの交流が上手くできずに孤立する可能性があります。
選択性緘黙の背景には様々な要因が考えられますが、その中の1つに対人的場面における緊張感があります。
人と話をするとき、特に初めて会う人と話をする時などには、程度の違いはあれど誰しも緊張するものだと思います。選択性緘黙のある子どもは、そういった人と会話をするような場面において緊張や不安をとても強く感じており、人と話すことを避けることで不安や緊張を軽減させていると考えられます。
そのため、学校など社会的、対人的な場面での強い不安や緊張を少なくすることやそういった場面に積極的に適応できるように社会的スキルを身につけることが必要になると思われます。
症状については、成長とともに見られなくなるといった意見もあります。しかし、症状の経過についてはよく知られておらずその他の不安症が併存している可能性もあるため、早めに専門機関に相談することが大切です。
出典・参考
・DSM-Ⅴ 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院
・心理学辞典 有斐閣
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