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2021.09.08ブログ
思春期について
思春期の特徴
思春期とは、子供から大人へと以降する時期を指し、小学校高学年から高校生の年代であり、およそ8歳から18歳の年齢に当たります。
思春期の特徴として、第二次性徴があります。これは子供の身体から大人の身体への変化であり、今まで馴染んできた子供の身体から、未知の大人の世界へ足を踏み入れることになります。
この変化は自分の意志や力で調整ができない分、不安を抱いたり、違和感を持って受け入れられたり、時には大きな心の悩みにまで結びつくことがあります。
また、思春期には心にも変化が見られます。思春期には自分に対する意識が高まり、また、それと共に他者からの目も急激に気になり始めます。「自分って一体何者なんだろう?」という自分に対する悩みや、「周りの人によく思われたい、嫌われたくない」「あの子に比べると自分はダメだ」という周りの目を気にした悩みが多く見られるようになります。
また思春期にはアンビバレント(両価性)な気持ちを持つことも特徴です。思春期の子供の中には、まだ親に甘えて子供でいたいという気持ちと、一人の大人として扱われたいという両方の気持ちがあります。また、周りの大人からは「もう大人なんだからしっかりしなさい」と自主性や責任を求められることもあれば、「まだ子供なんだからそんなことしてはいけない」と咎められることもあり、思春期は自分の気持ちにも、周囲からの扱いにも戸惑いを感じることが多くあります。
思春期における環境の変化
思春期は心と身体の変化を経験し、心身ともに揺れ動く時期であるといえます。しかし、それと同時に学校移行や受験、学校内での人間関係など多くの環境の変化が起きます。
小学校から中学校への移行、中学校から高校への移行では新たな友人関係の構築が求められます。また、学習や生活面ではこれまで以上に自主性・主体性が重視され、責任が求められることになります。人間関係もより複雑になり、先輩や後輩、科目毎ごとに変わる先生との関係など様々なことに気を遣うことが増えます。また、受験や学期試験などは、成績という自分の評価に関わる明確な基準と向き合い続けることを求められます。
また、思春期には親や大人との関係についても変化が見られ始めます。思春期を迎えた子供は心と身体の成長のアンバランスさを持ち、自分という存在がとても不安定になります。また、様々な不安や劣等感、違和感、動揺、ストレスを抱えている一方で、それらを上手に表現するスキルは未熟です。そのため、それらが反抗的な態度になって現れることがあります。そのような反抗的な態度から、今まで、良好な関係を保ってきた親子関係、大人との関係が捩れたものに変質するということも起こり得ます。
思春期をどう捉えるか
これまで述べてきたように、思春期は子供から大人へと身体的にも精神的にも揺れ動きながら「変化」をしていく時期です。
思春期は精神科的な障害や問題行動の好発期であるとされていますが、それはこの「変化」という非常にストレスフルな時期であることが大きな理由としてあげられます。「変化」は精神科的な障害や、非行、不登校などを経験している子供たちが特に経験するものでもあります。例えば、不登校の子供は学校に行けていた自分から学校に行けなくなった自分への変化を経験し、周囲の態度の変化にもとても敏感です。非行を起こした子供はそれまでの「問題のない子」から「問題のある子」への変化を経験し、自分という存在の認識に大きな影響を及ぼします。
このように変化を経験する子ども達には揺れ動きの中でも、崩れそうな時には寄りかかれるような、変わらずに支えてくれる大人や信用できる存在、安定して受け入れてくれる環境が必要不可欠です。
思春期は誰しもが経験するものであり、振り返ってみればごく自然に経過したものであるかもしれません。しかし、この時期の最中にある子どもたちは今まさに「変化」を経験して、揺れ動いている存在であるという周囲からの理解がとても大切なのです。
出典・参考
伊藤美奈子(2008)思春期・青年期臨床心理学 (株)朝倉書店
水島広子(2018)思春期の意味に向き合うー成長を支える治療や支援のためにー 岩崎学術出版
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