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Blogブログ・心理学用語集
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2021.08.24ブログ・心理学用語集
ドメスティック・バイオレンス(DV)・デートDV
DV・デートDVとは
DV(domestic violence)とは配偶者や恋人など親密な関係にある、又は親密な関係にあったものから振われる暴力です。
我国では、2001年に「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護等に関する法律」(DV防止法)が制定され、夫婦関係における暴力が法律上「DV」だと定義されました。
DVは大人の間で起こる問題だとイメージされがちですが、青年期の恋愛関係におけるカップルの間でも暴力が生じることがあります。そのような暴力は「デートDV」と呼ばれ、近年社会問題として注目されています。
そして、DV・デートDVは男女ともに、また、同性間の恋愛関係においても起こり得ることあり、性別に関わりなく加害者にも被害者にもなる可能性があります。
DV・デートDV 暴力の種類
DV・デートDVの中にあるのは「暴力」と聞いて想像しやすいような、殴る・蹴るなどの「身体的暴力」だけではありません。暴力の種類は以下が挙げられます。
- 「身体的暴力」―殴る・蹴る・平手打ちをするなど
- 「心理的暴力」―無視をする、暴言を吐く、脅す、他人に悪口を言う、恥をかかせる、長時間の説教など
- 「性的暴力」―性行為を強要する、避妊に協力しない、無理やりポルノを見せるなど
- 「社会的暴力」―常に行動を監視する、親戚や友人などとの付き合いを制限するなど
- 「経済的暴力」―生活費を渡さない、生活費の使い道を細かくチェックする、外で働くことを禁止する、借金をさせるなど
- 「子どもを利用した暴力」―子どもの目の前で暴力を振るう、子どもに悪口を言う、子どもを傷つけるといって脅す(ペットを傷つけるという脅しもある)など
このように、身体だけでなく、心を殴る・蹴るという非常に精神的に負担となる暴力行為が含まれています。
DV・デートDVとは「力と支配」
「なぜDV・デートDV加害者は暴力を振るうの?」といった疑問はよく聞かれます。
DV・デートDV加害者は「つい」暴力を振るってしまうわけではありません。ストレスが溜まっているからでも、お酒を飲んで酔っ払っていたからでもありません。DV・デートDV加害者は、親密なパートナーに対して、「力と支配を手にするため、またはそれを維持するため」に意図的に繰り返し暴力を行っているのです。
DV・デートDVは相手を自分の意のままにコントロールしようとする「力と支配」の構造を持っています。そのような「力と支配」の構造に、被害者や暴力を振るっている加害者自身も気がついていないことが多くあります。
DV・デートDV被害、加害を自覚する・予防するために
婚姻関係や恋愛関係における暴力は、ジェンダーイメージ、偏見、価値観などから被害や加害が隠れやすいことが特徴とされます。
そのため、自分が持っている「男らしさ」「女らしさ」などのジェンダーイメージや偏見、価値観に気がつき、それによって起こりやすい被害・加害を見つめ直していくことが大切になります。
例えば、男性の場合は「力と支配」のジェンダーイメージが持たれやすく、暴力を振るっても「当然のもの」「仕方がない」として正当化されやすくなったり、反対に被害を受けても「男のくせに」「情けない」などと被害が隠れやすくなったりということが起こりやすくなります。反対に、女性は「力と支配」といったジェンダーイメージが少なく、暴力を振るってもその暴力が過少評価されやすくなったり、暴力を受けても被害が見過ごされやすく、暴力が過少評価されやすくなります。
自分だけでなく周囲の人の被害・加害に気がつき、予防をしていくためには、このような自分や相手、周囲の人が持っているジェンダーイメージを自覚し、そこからくるジェンダーの偏見や自分の価値観を見つめ直していくことが大切です。
最後に、
どんな理由であれ、暴力を受けていい人はいません。また、暴力をしていい理由はありません。自分や周りの人が被害を受けていたら、一人で悩まずに、相談をしてください。
出典・参考
尾崎礼子(2015)DV被害者支援ハンドブック 株式会社朱鷹書房
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