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Blog心理学用語集
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2020.11.06心理学用語集
テスト・バッテリー (Test Battery)
テスト・バッテリー (Test Battery)
テストバッテリーとは、カウンセリングや療育を行うにあたって、複数の心理検査を組み合わせて実施することを言います。テスト・バッテリーを行うことで、クライエントをより多くの視点から理解することができます。
テスト・バッテリーで組み合わせる心理検査はクライエントの抱えている問題によって様々です。
ある人はAとBの検査、他のある人はCとDの検査の組み合わせ、あるいは他の別の人はAとCとEの3種類のテストの組み合わせというように、種類も数もお悩みによって異なります。
心理検査は大きく分けて、「発達検査」、「知能検査」、「認知機能検査」、「質問紙性格検査」、「投影法性格検査」、「作業検査」に分けることができます。
このそれぞれのグループの中でも複数の種類の検査が存在しており、「質問紙性格検査の中でもこの質問紙を実施するのが適切」というように、さらに細かくお悩みに合わせて心理検査を組み合わせて実施します。
よくネット上などで”心理テスト”と呼ばれるものが載っていたりします。
それらがどの程度、信頼できるものかはわかりませんが、「心理検査」という専門家が使用する検査については、全てがデータに基づいて作成されており、科学的根拠がベースにあります。「データに基づいて作成されている」というのは、同じような症状・年齢の人が、どういう傾向があって、どんな反応を示しやすいのか、それらの多くの人のデータを専門家が詳細に分析し、作成されているということです。
また、世界共通の心理検査でも「日本語版」というように日本人を基準として修正してあることも多くあります。
例えば、「車の車線は左右どちらですか?」という問題があったとして、アメリカでは「右」が正解ですが日本では「左」が正解になります。このように文化や国が違うということは「基準」が異なりますので、その国に合わせた検査の作成が必要になります。
さらに、時代によっても項目の変更が余儀なくされることもあります。
例えば、「ポケベルとは何ですか?」と今の子どもたちに聞いても「何それ?」と多くの子どもたちが分からない事態になると思います。その場合は例えば「スマートフォンをは何ですか?」という問題に変更する必要があるかもしれません。このように、時代によっても「基準」は変わることも多く、心理検査はそれに合わせて数年から数十年毎に更新をしなくてはいけなくなります。このような理由があるため、同じ検査でも「Ⅱ」や「Ⅲ」と改訂版が存在するのです。
上記のように、専門家が使用する心理検査については、信頼性が高く、医師が診断をする上でもとても有効な情報の一つになります。
体の問題は、レントゲンやCT、MRIなどで目に見えて発見することができますが、人の「こころ」の問題や悩みはレントゲンやMRIでも明らかにすることができません。
そのため、このように科学的データと照らし合わせながら人の「こころ」を数値化するものが心理検査になります。さらに心理検査の一つ一つが細かく分かれているように、心理検査1つで明らかになる部分はとても狭い領域です。そのため、幅広くその人の困りごとを把握するためには複数の領域を明らかにする必要があります。その場合に行うものが「テスト・バッテリー」です。しかし、このように、テスト・バッテリーを行うことで多くの有用な情報を得ることができますが、それと同時にクライエントの負担も多くなります。
2〜4種類の心理検査を実施するということはそれだけ、時間がかかるということです。
心理検査によっては1時間以上を要するものもあり、クライエントには大きな負担となります。そのため、複数の日程に分けて実施することもあります。クライエントの様子を見ながら、あるいはクライエントを話し合いながら実施していくことがとても大事になります。
出典・参考
・心理臨床大辞典(改訂版)(2010). 培風館
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