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Blog心理学用語集
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2020.11.04心理学用語集
応用行動分析 (ABA : Applied Behavior Analysis)
応用行動分析とは、アメリカの心理学者であるスキナーが体系化した心理学の考え方です。具体的には、「ある人間(個体)はなぜそのように行動するのか?」を分析し、その行動がどんな時に起こるのか、あるいはどんな場面で起こるのかを予測し、どうすれば制御出来るのかを考えます。
近年では、発達障害のお子さんへの療育や教育、特別支援教育などへの効果が認められ、急速に普及している考え方です。
まず、応用行動分析の主要な考え方を幾つかご紹介します。
①行動の原因をその人側(個体)には求めないこと
応用行動分析では、ある人(個体)の行動に対して、その人自身が原因とは考えずにあくまで、周りの環境の中にその行動の原因があると考えます。例えば、ある子どもの教室で起こる問題行動に対して、子ども自身には原因は求めず、その子どもに関わっている周りの大人や他のクラスメイト、あるいは教室の机の位置、またはカリキュラムなど、その子を取り巻く環境の何らかが子どもに作用していると考えます。そして、その行動に作用している何らかの環境の要因を変えることで、行動をコントロールすることを目的としています。
つまり、環境を変えることで子どもの行動を変えようとする考え方がベースにあります。確かに、発達障害のお子さんなどは個人の要因として様々な行動面での苦手さがあります。そんな苦手さがある子どもが、最大限力を発揮したり、新しいことを学習するためにはその子に合った環境がとても大事になります。
②良い行動を増やすこと
何か問題行動をする子どもがいたとして、私たちが考えがちなのは「どうやってその問題行動を減らそうか」ということです。
「悪い行動(問題行動)を減らす」と考えることでどんなことが起きてくるのか。ここで問題となるのは、悪い行動を減らしたところに、別の違う悪い行動が入ってきてしまう可能性があるということです。例えば100分という時間の中で、ある子どもが20分勉強をして、残りの80分間は消しゴムの消しカスで遊んでいたとしましょう。ここでの良い行動は「勉強をする」ことで、悪い行動は「消しカスで遊ぶ」ことです。この悪い行動を減らすために「消しカスで遊ぶのはやめましょう」と指示をし、消しゴムを取り上げたり、筆箱に片付けさせたりすると、その子はどうなるでしょうか?おそらく、「消しカスで遊ぶ」行動は減りますが、他の悪い行動を始めると思います。例えば、鉛筆をかじったり、あるいは教室を歩き回ったりするかもしれません。このようなことが起きてきてしまいます。
そこで、考えるべきはことは「良い行動増やす」ということです。上の例で考えると、同じ100分のうち、20分の勉強時間(良い行動)、80分の消しカスで遊ぶ時間(悪い行動)があったとして、良い行動、つまり勉強時間を20分から60分に増やすと、相対的に悪い行動が起こる時間は40分に減ります。つまり、良い行動の時間増やすことで、悪い行動の時間が少なくなるわけです。
上記のような考えを応用行動分析ではベースにしています。応用行動分析の考えの中で重要となる「強化」については別の項目で述べることとします。
出典・参考
・小林重雄 監修 山本淳一・加藤哲文編著(2010). 応用行動分析学入門-障害時者のコミュニケーション行動の実現を目指す- (第8版)学苑社
・P.A.アルバート・A.C.トールマン(2004). はじめての応用行動分析 日本語版(第2版)二瓶社
・山本淳一・池田聡子(2005). 応用行動分析で特別支援教育が変わる-子どもへの指導方略を見つける方程式- 図書文化
・心理臨床大辞典(改訂版)(2010). 培風館
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