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Blog心理学用語集
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2020.11.02心理学用語集
抜毛症 (Trichotillomania)
抜毛症 (Trichotillomania/Hair-Pulling Disorders)
抜毛症とは、自分の体毛を引き抜くことが癖となってしまいなかなか止めることができず、その結果、抜毛部分の体毛が薄くなってしまう症状をいいます。抜毛で最も見られるのは髪の毛の抜毛ですが、眉毛やまつげの抜毛も多いと言われています。ただし、体毛の生えている体の部分のどこでも起こる可能性があり、一概に髪の毛や眉毛、まつげだけとは言えません。
以下のような状態があれば、抜毛症の可能性があります。
A.繰り返し体毛を抜いてしまうことで、体毛がなくなってしまっている
B.抜くことを減らしたり、やめようと何度も試みている
C.体毛を抜くことで、社会的に苦痛を伴っているため、生活しにくい
D.身体的な病気による抜毛・脱毛ではない
E.他の精神疾患の症状ではない。
抜毛してしまう箇所は時間の経過によって変わることがあり、「この前まで髪の毛だったけど今度は眉毛」など一箇所の抜毛だけではない場合があります。また、1日の中で短時間の抜毛を繰り返したり、続けて長時間抜毛したりと、時間の長さも人それぞれです。このように抜毛の状態は人それぞれ多様であり、体毛の喪失の度合いも様々です。また、基本的には家族の前以外では抜毛行為は行われないことが多く、家族以外から見たら外見上全然わからない場合もあります。
抜毛の始まりの多くは思春期以降と言われています。数ヶ月から数年単位で続いている人も全人口の1%いると言われており、珍しい症状ではありません。
なぜそんなに抜毛の期間が長くなってしまうのかというと、人が抜毛をするの状況は、不安になった時や退屈な時、イライラする時という状態があります。そして抜毛を行うと、なんだかスッキリしたり、気分が落ち着いたりすることで、不安やイライラが起きたら「毛を抜けばスッキリ」するという行動がやめられなくなります。しかし一方で、無意識的に抜毛をしていることもあり、こういった行動が混ざり合って報告されることが多いようです。
この文章を読んでいる女性の方は「脱毛処理はどうなの?」と思ったかもしれません。美容目的で抜毛した毛に対して、多くの人はねじったり遊んだりすることがありますので、それだけでは「抜毛症」とは診断されません。あくまでも、上記の診断基準のように「止めたくても止められない」「日常生活を送りにくい」ほどの困り感がある場合です。
抜毛症は、抜毛することで他の症状を引き起こすことがあります。
「毛を抜く」行為そのものでは、指で毛を抜く際に内出血するほど強く指に力を入れていたり、あるいは、毛を抜く際に長時間体を通常とは違った方向にひねったりすることが続くと、首や肩、背中の痛みにもつながります。
また、「髪の毛を噛む・食べる」という行為があるならば、髪を噛むことで歯が摩耗してしまい、歯の損傷を起こしたり、毛を飲み込むことで髪の毛が胃に溜まり、石化して腹痛を引き起こしたり、腸閉塞になることもあります。
抜毛症の原因は色々と考えられますが、ご本人へのカウンセリングと同時にご家族へのカウンセリングがとても有効と言われています。
何か気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
出典・参考
・DSM-Ⅴ 精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院
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