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2017.07.17ブログ
就学時健診と就学相談
まだまだ来年度まで半年以上あるのですが、小学校入学に向けて就学時健診と就学が始まっています。特に知的・発達に課題があるお子さんに対しては早めに健診を受けられるように、各幼稚園・保育園へ健診と相談の案内が行っているようです。
最近、水戸心理・療育センターでの発達相談やみらっぷの療育相談でも、就学時健診や就学相談についての相談が多くなってきました。
就学時健診とは、来年度小学校へ就学する子どもを対象にした健康診断のことで、正式には就学時健康診断といいます。その子どもに一番適する進学先を決定すること、就学後に配慮が必要な点がないかどうかを把握することが主な目的となっております。身長、体重、視力、聴力などの通常の健康診断と同様の身体面に関する健診が行われるのですが、それに加えて知的能力の検査が行われることが通常の健康診断と大きく異なる点と言えるでしょう。
そして、就学相談では就学時健診で得られた情報を元に進学先を決定していきます。
当センターにいらっしゃる発達に課題を持つ子どもの親御さんも就学先の決定に悩みを抱えているようです。特にもともと発達に課題があるお子さんですから、通常級でやっていけるのか、支援級でやっていけるのか、特別支援学校へ行ったほうが良いのか、などこれからのお子さんの成長への期待と不安で悩まれているようです。
ここでは、少しでもそのような親御さんたちの就学先決定の参考になればと思い、普通学校と特別支援学校の違いについて書かせていただきます。
・普通学校
普通の小学校は、国(文部科学省)が定める学習指導要領に則り、子どもたちへ平等な教育を行う場所です。子どもがどのような将来を希望したとしてもその将来を目指せるよう、幅広い教育を行っています。なので、一見無駄に思われること、あまり将来使わない学習内容であったとしてもカリキュラムに取り入れられています。
その中で、そのカリキュラムに何らかの理由でついていくことが難しいお子さんをサポートするために支援級というものが設置されています。支援級は、知的学級と情緒学級があり、それぞれ、知的学級は知的発達の遅れが認められるお子さんが本人の知的能力に合わせた学習を行うための場所、情緒学級は知的能力には問題が見られないものの、教室がうるさいと集中しにくい、などといった情緒面の課題に合わせた学習方法を提供する場所として違いがあります。ただし、どちらも先の普通学校の目的、つまり「子どもがどのような将来を希望したとしてもその将来を目指せるよう、幅広い教育を行う」という点は共通で、あくまでお子さんが遅れがちな学習を彼らなりに可能な限り吸収しやすくなるような配慮として設置されています。知的学級は学習進度や学習方法の配慮をすることで、情緒学級は学習環境の配慮をすることで幅広い教育を行っていきます。
・特別支援学校
特別支援学校は知的・発達に遅れが見られるお子さんが通う場所としては普通学校の知的学級と同じように思われるかもしれませんが、その目的は、苦手がある子どもでも将来その子のできる限りの社会的活動ができるようにすること、つまり、卒業後に関してならば就業訓練を行うことが主な目的となります。低学年のうちは文字の読み書きや数の勉強など普通小学校と同じようなカリキュラムも多いのですが、学年が上がっていくうちに将来の就業を意識した作業の時間が長くなっていきます。
このように、普通学校と特別支援学校はその目的が大きく異なっています。なので、どちらの学校を選択するかはそのお子さんの将来の生き方をよく考えた上で決めていかなければなりません。どのようなお子さんであっても将来、社会参加をすることに変わりはありません。その準備として、普通学校は無駄になるかもしれない学習を幅広く行うことで将来の選択肢を広げることを目指し、特別支援学校は社会参加の形はある程度限定されたものですが確実に就業できることを目指して訓練を行っています。
就学時健診及び就学相談では知的検査で明らかになる知能指数(IQ)によって単純に普通学校に適するか特別支援学校に適するかが勧められるようですが、お子さんの将来の社会参加がどのような形になるのかをイメージしていただいて決めたほうが良いでしょう。特に知的発達に遅れが見られるお子さんの場合、幅広い学習を行うことでかえって全ての学びが中途半端になってしまい、結果的にその子の将来の社会的参加の質が落ちてしまうことになりかねません。就学先でお悩みの方は参考になさってください。
富田賢史
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